No.187
1996.10

ISASニュース 1996.10 No.187

     

久しぶりのヨーロッパ

藤井孝蔵

 1年ぶりのヨーロッパである。会議は2つ,パリでECCOMASという数値シミュレーション関連の会議,そしてイタリアはソレントでICASと呼ばれる国際会議である。ICASは ちょうどIAFの航空版である。同じ週に2つの会議があったため今日はこっち,明日はあっちと複雑なスケジュールになってしまった。今回は珍しく辛島先生と同じ海外出張だったが,折悪しく同じ日に辛島先生はソレントで,こちらはパリで発表があり, 結局すれ違いとなってしまった。

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 初日はパリで夕方まで会議に参加し,その足で友人と一緒にナポリに飛んだ。何故か二人ともイタリアは初めてである。目的地はナポリの南約40H,「帰れソレントへ」のソレントである。ナポリまで飛行機だが,この時間直通便がないためミラノで乗り換える。 ナポリに着いたのは午後10時30分。もう電車も船もバスもない。仕方なくタクシーに乗る。ローマから南,特にナポリは気を付けなさいと言う人もいるし,イタリアのタクシーには値段がないと聞いていたので値段の確認をして乗り込む。道の端には40Hという数字を書いたマークがあるが,タクシーの速度はいきなり120H,自然とシートベルトに手が行く。紙幣のリラも0が多くてよくわからないが,速度も0がよけいにつくらしい。まあ,なんとか11時過ぎには目的のホテルに入った。次 の日はスペースプレーン関連表やロシアのフライト実測のあやしげなデータの発表を聞いた後,夜はスパゲッティパーティー。実は私は長いものが苦手でどうしようかと思ったが,出てみるとマカロニやパスタ一般の料理が並んでいる。とりあえず腹ごしらえをと料理をもらってテーブルに着く。一皿終わって,デザートをと席を立った。席に帰ってみるとなんと椅子がない。探していると,そばにいた他の参加者が他の テーブルで席を立った人の椅子をもって来てくれた。その後も椅子とりゲームは続きながら無事パーティーは継続していく。イタリアだなあと思いつつ夜は更けていった 。次に日は列車でナポリの駅に。財布を気にしながら駅前で腹ごしらえをして空港からパリに戻った。

 パリでの宿はコンコルド広場からセーヌ川を渡って数分の便利な場所であった。毎朝 ,立派な朝食を食べさせてくれる。新聞も Herald Tribune International とかいうの があって世界情勢が出ている。しかし,よく見ると一面に日本のホストクラブの記事が出ていたりして3面記事が多い。 嬉しかったのは日本のプロ野球の結果が毎日でて いることだった。さて木曜はバンケット。8時からというのでシャンゼリゼで時間をつぶして地下鉄で会場へ。アメリカと違ってパリはちゃんと食べられるものを出してくれるはずである。立ちんぼのカクテルレセプションが1時間以上あって,やっと始まったと思ったら長々と続く挨拶。その上フランス語である。こちらは日本語と少々の英語あとはフォートランくらいしか言語は知らないし,いつものこととはいえいささかまいった。10時半になってやっと食事,本郷にいった田村助手がこの10ヵ月世話になったドイツDLR(航空宇宙研究所)の Kordulla と昔話に花を咲かせて,終わったのは12時半。地下鉄に向かう列に加わり,ホテルに帰ったのは1時過ぎであった。

 それにしても昨今の国際会議の論文集はどうしてこんなに厚くなったのだろうか。パリの会議では2冊をいれたショルダーバッグに加えて入りきらない一冊が手渡された。会議側が用意したバッグに入りきらないのである。しかも3冊とも5センチ以上は間違いない厚さである。さらにソレントでは超厚い論文集2冊が何と段ボール箱に入れて渡された。全部で5冊,幸い送る手段が見つかったからいいようなものの,持って帰っても大半は書架の肥やしになってしまう。昨年,台湾で行われた会議では論文集はCD-ROMであった。現地で見ることができないというもどかしさもあるが,海外旅行でぶ厚い論文集を渡す習慣はこれから変わっていくことを期待したい。

 何度か成田エクスプレスが満員で各駅停車に乗って帰ったことがある。そのため最近では危険を承知で帰りの切符を買っておくのだけれど,今回は45分程飛行機が遅れた。ゲートを出たのが列車の12分前,パスポートコントロールをあわてて出て,荷物をもらい地下のJRの入口に着いたのが3時44分。ところが切符は3時43分発。「あーあだめか」と思ったのもつかの間,駅の掲示には3時47分発とある。急いでホームに降りると発車のベル。何故かわからない4分の時刻改正に感謝しつつ無事家に帰り着いた次第であった。(余談:食べ物のことしか記憶にないのはどうしてだろう。後でよく考えてみよう)。

(ふじい・こうぞう)


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