No.186 |
<研究紹介> ISASニュース 1996.9 No.186 |
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耐熱複合材料の中で,高温強度を問題にする場合,図3に示すように炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材料)の特性は秀でており,2000℃以上の高温まで強度を保持することが可能です。また,C/C複合材料は他のセラミックスに比べ熱膨張係数も小さいことから,急激な温度変化に伴う熱衝撃に対しても損傷をうけにくいという利点があります。このように優れた高温特性を有することから,一部ではすでに実用化されている部材もあります。例えばM-Vロケットのスロート部は非常に高温になるため,C/C複合材料でできています。
図3 各種材料の高温比強度
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C/C複合材料を用いて要求を満足する部材を作製するには,いくつかの課題があります。まず,複合材料によって図4のような複雑形状を最適設計すること自体に困難が伴います。高速で回転するチップタービンおよびファンには遠心力によって高い応力が発生しますが,これに合わせて繊維の配向を制御して各部品を組み上げていかなければなりません。このためには,各部品に発生する応力の解析や,これに適した材料を用いた材料試験,実際の形状に合わせた要素試験など多くの段階を経る必要があります。また,高温酸化環境で高強度を維持する必要があるため,酸化によるC/C複合材料への影響はより厳しいものとなります。したがって,耐酸化コーティングによる酸化の防止は不可欠で,コーティング方法自体,およびコーティングされた材料の特性劣化の評価等が,構造の信頼性にかかわる重要な問題となってきます。
これらの課題を克服してC/C複合材料をチップタービンおよびファンに適用することは,強度が問題となるような高温構造材料としての適用可能性を実証することでもあり,耐熱構造材料の開発において工学的な意義はおおきいと考えます。
(こうご・やすお)
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